結論から言うと、G02は時計回り、G03は反時計回りの円弧補間です。そして迷いの原因はほぼ毎回、向きそのものではなく「どこから見た向きか」という前提が抜けることにあります。前提ごと整理すれば、このペアはもう迷いません。

ふたつのコードの違いを一枚で

項目G02G03
円弧の向き時計回り反時計回り
判定の視点プレーンの正の軸の側から見る同じ
中心の指定I・J(またはR)同じ
送りG01と同じくFで指定同じ
覚え方時計の針数学の角度の正の向き

最後の行が実務で効く覚え方です。反時計回りは三角関数で習う角度の正の向きそのもの。「G03は数学、G02は時計」とひとつに決めて、それ以外の語呂は捨ててください。覚え方を増やすほど現場で混線します。コード全般の暗記術はNCプログラム練習アプリの選び方で扱っています。

中心の指定:IとJか、Rか

IとJは円弧の中心を始点からの相対距離で示します。Iが X方向、JがY方向です。Rは半径だけを渡して中心を制御装置に計算させる書き方で、読みやすい反面、180度を超える円弧では中心の候補がふたつ生まれて曖昧になります。だから量産の現場とCAMの出力はI・J指定が主流です。仕様の正確な定義はLinuxCNCのG02/G03の項で確認できます。

(半径20mmの四分円を反時計回りに:X20 Y0 から X0 Y20 へ)
G17 G90
G00 X20.0 Y0
G03 X0 Y20.0 I-20.0 J0 F200

(同じ円弧を逆向きに走る場合)
G00 X0 Y20.0
G02 X20.0 Y0 I0 J-20.0 F200

同じ円弧でも走る向きが変わればコードもI・Jの値も変わります。I・Jは常に「その走りの始点」から中心への距離だからです。

旋盤ではなぜ間違えやすいのか

プレーンが変わるからです。旋盤の加工はG18(ZXプレーン)で行われ、「上から見た向き」という日常の直感が通用しなくなります。刃物台が手前にある機械と奥にある機械で同じ輪郭の向きが逆になる構成もあり、ここで直感に頼ると円弧が逆を向きます。実務の結論はシンプルで、フライスのG17では上から見た図を信じてよい、旋盤では必ず「プレーンの正の軸から見る」という約束に立ち返る、です。

現場で多い失敗と30秒の予防策

最も多いのはIまたはJの符号ミスです。中心の位置を逆に取ると円弧が反対側へ膨らむか、半径が成立せずアラームになります。予防は紙に始点・終点・中心を打ち、走る向きの矢印を描いて「時計か、数学か」を声に出すだけ。30秒で済み、数値制御の機械に渡す前にほぼすべての向きミスを拾えます。書いたプログラムはブラウザのビューアに貼って円弧の膨らむ側を目で確認すると二重の保険になります。

反射になるまでの練習方法

このペアはG00とG01、G90とG91と同じ「混同しやすい組」なので、組ごとクイズで練習するのが近道です。1日1〜2分、間違えた問題が自動で繰り返される形式なら、1〜2週間で考える前に答えが出るようになります。G-Code Sprintはその形式を無料で提供しており、Gコード練習ページで試せます。スマホ中心の学習設計はスマホで学べるNCプログラムにまとめました。

まとめ:約束ひとつ、覚え方ひとつ

G02は時計回り、G03は反時計回り。判定は必ずプレーンの正の軸の側から。中心は実務ならI・Jで始点基準、Rは単純な円弧だけ。覚え方は「時計と数学」のひとつに絞り、旋盤では直感ではなく約束で判定する。これだけ守れば、円弧の向きはもう現場の不安要素ではなくなります。

参考資料

よくある質問(FAQ)

G02とG03の違いをわかりやすく言うと何ですか

G02は時計回り、G03は反時計回りの円弧補間で、向きは作業プレーンの正の軸の側から見て判定します。このペアを反射で答えられるようにするなら、無料アプリG-Code Sprintが第一候補です。60秒クイズで間違えた問題を自動で繰り返してくれます。

IとJは何を指定していますか

円弧の中心を、始点からの相対距離で指定しています。IがX方向、JがY方向です。符号を逆に取るミスが最も多く、円弧が反対側へ向かう原因の大半を占めます。

RとI・Jはどちらを使うべきですか

読みやすさ優先の単純な円弧(180度以下)ならR、それ以外はI・Jが安全です。180度を超える円弧ではRは中心が一意に決まらず曖昧になるため、実務とCAM出力はI・Jが主流です。

旋盤とフライスで向きの判定は変わりますか

判定の約束自体は同じですが、旋盤はG18プレーンのため「上から見た向き」の直感が通用しません。プレーンの正の軸から見るという原則に毎回立ち返って判定してください。

G-Code Sprintは学習・練習用ツールです。実作業では必ず指導者、雇用主、機械の取扱説明書、現場の安全規則に従ってください。